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瓶詰の地獄

<あらすじ>

瓶詰の地獄:極楽鳥が舞い、ヤシやパイナップルが生い繁る、南国の離れ孤島。だが、海難事故により流れ着いた可愛らしい二人の兄妹が、この楽園で世にも戦慄すべき地獄に出会ったとは誰が想像したであろう。それは、今となっては、彼らが海に流した三つの瓶に収められていたこの紙片からしかうかがいしることは出来ない。(裏表紙より)

人の顔:チエ子は普通の児と少々違っていた。何もない空間をじっと見つめ続けていたりする。星や石を眺めていると、段々と人の顔になるのだと、チエ子はいうのだが。

死後の恋:風来坊のキチガイ紳士が語る「死後の恋」それを信じてくれる人を探しているという。そして信じたものには彼の全財産である「死後の恋」の形見を渡すという。男の言う「死後の恋」は男がまだ兵隊であった時の話である。

支那米の袋:お酒を飲みながら語られる、女の生い立ち。「あんたを殺したくなった事があるのよ」そういう女の意図とは―

鉄鎚:父親は叔父を悪魔だという。父親亡き後、叔父の下で働く主人公の前に、叔父を篭絡する少女が現れる。鉄槌を受けるべき悪魔は、誰なのか。

一足お先に:切り落としてしまった、右足の夢を見る。どこまでが夢でどこからが現なのか。

冗談に殺す:「完全な犯罪」に、なるはずだった。

<感想>

瓶詰の地獄:14ページほどの短い話です。というか、三つの瓶詰にされた文章です。これだけで、ものすごく色んな想像ができる。ものすごく圧縮されている。

人の顔:物事を知らない幼い子の方が、色々と見れる、というか。うん、そんな感じ。

死後の恋:一番好き。戦場の描写が容赦ない。グロテスクな色気を感じる。そして、哀しい話だ。

支那米の袋:最初に女から読者に小さななぞなぞが送られる。私はそれがなんなのかまったく分からなかったなあ。

鉄鎚:悪魔の定義が、分からない。ある意味で、皆が心の内に悪魔をすませているのではないか。

一足お先に:読んでいてこっちまで、夢と現が曖昧になる。混乱させるなあ。文章に飲まれそうになる。

冗談に殺す:カタカナと漢字とひらがなの比率が面白いなあ。これがカタカナになるだけで、雰囲気が変わるということがよくわかる。まあ、これは全編にいえたことですが。犯罪者の心理といいますか、自己援護というか。なんかすごかった。

続きはネタバレ有りの感想
<ネタバレ>

瓶詰の地獄:はじめは親へ助けの手紙。次は、妹へ向ける兄の劣情の吐露、または懺悔。最後の手紙は救助船を目にした兄妹の遺書。それだけで何があったか、想像できるところが、すごい。しかもでてくる順番が全部逆。最後にすべてカタカナでまだ幼かったであろう兄がかいた文章が、胸を刺す。

人の顔:未だに活動がなにかわからない。なんか劇とかなのかな?子供の視点から、というか子供が見た「大人の世界」って感じですよね。悪意がないから、大人には脅威なんでしょうが。

死後の恋:なんか、好きだ。戦場とかいたけど、細かく言えば死体の描写だよね。エロはないのにエログロを感じるよ!ロシアとかアナスタシア王女とかの話は詳しく走りませんが、一応概要は理解しています。なんか漫画で見たことがあるんだよなあ。死んだ後に男の中では始まった恋だったんだろうなあ。

支那米の袋:まるで奴隷船だよ、袋の中に入る、なんて。相手が可愛くて殺してしまいたい、とかなんていうサディスト。相手の存在を殺す、相手の人格を無視する、ある意味での支配。なのか?ううん、私は私自身のSM観がわからないわ。

鉄鎚:結局、なんの行動もせず、傍観者でいながら周りを崩壊させたのは、主人公だったんでね。という話。何もしない、それが罪になる事もある。

一足お先に:この話が、夢野久作のベースなんじゃないかな、と思ってしまうのは私が他には「ドグラ・マグラ」しか読んだことがないからだとおもう。病院が舞台だとついつい、思い出す。読んだのは高校生の時なので、また再読したいなあ。

冗談に殺す: 男が、女を殺す事が「使命」であったり、女が死ぬ事を「運命」と思おうとおもっているのは完璧に自己援護だろう、と思った。
まあしかしながら、世界はその人を中心に回っているわけで、自己援護なんて当たり前なんだよね。自分の物語しか見えないんだもの。
| 夢野久作 | 21:36 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |

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